この度、大学英語教育学会(JACET)、中部支部の支部長を仰せつかることになりました藤原康弘(ふじわら やすひろ)です。この大役をお引き受けするにあたり、簡単ではございますが、自己紹介と共にまずはご挨拶申し上げます。

私はいわゆる団塊ジュニア世代とほぼ重なる時期に岡山県で生まれました。専門は日本では「国際英語論」、世界ではEnglish as an international language, World Englishes, English as a lingua franca, Global Englishesと様々な呼び方がある研究分野です。近年では Global Englishesという用語がアンブレラ・タームとして広がりつつあり、言語教育に特化した Global Englishes Language Teaching(GELT)という研究領域も発展しています。一言で言えば、英語を「英米語」ではなく「国際語」として捉え、教えることに最も大きな関心を寄せています。

では、こうした領域ではどのような教育実践が求められているのでしょうか。一見、「国際」「世界」「グローバル」といったキーワードから壮大なイメージを抱きがちですが、実は真逆とも言える「地域」「ローカル」な場での、状況に適した実践が重視されるというのが共通認識になっています。教育とは社会文化的な営みであり、いわゆる「万能解」は存在しない—これは直感的にもご理解いただけるのではないかと思います。

英語教育についても、アメリカやイギリスの方法が必ずしも絶対的に優れているわけではありません。フィンランドやシンガポール、中国や韓国などの諸外国でも同じことです。日本国内でも北海道・東京・愛知・岡山・沖縄など地域によって求められる「最適解」は異なる可能性があります。各地の研究者や実践家が、それぞれの現場に適した言語教育を日々模索し、取り組まれています。

そうした会員の皆さまの地域に根ざした知見を、まずは中部支部として共有し合えるローカルな場を提供できれば何よりです。その探求には、第二言語習得論や応用言語学だけでなく、英米文学や英語学、文化コミュニケーション論、さらにはあらゆる分野の知見が必要になります。個人では到底把握しきれない広大な領域ですが、みなさまの知恵や経験を少しずつ持ち寄ることで、共に探求を深め、協力し合える関係が築ければと願っております。

今後の大学英語教育学会中部支部の活動を考えるにあたっては、「英語教育」を中心に据えつつ、諸学問と皆さんをつなぐ、身近で開かれた場を提供できるよう、執行部・役員一同、最善を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025.6.15

藤原康弘(名城大学)